温室ガス排出抑制のために自動車の燃費向上やCO2排出の少ないシステムへの変換が進められているが,発電所をはじめとするCO2排出源においてCO2の分離を行い,海底下帯水層などへ隔離するCCS(Carbon Capture & Storage)の研究開発が世界各国で進められている.一般に,CO2の排出・分離箇所と隔離箇所は遠隔にあるのが普通であり,CO2を輸送することが必要で,そのための技術開発が必要である(CCTS; Carbon Capture, Transport & Storage).
CO2輸送方式の中でも短距離・大量輸送の場合にはパイプラインが経済的に最も適している.CO2パイプラインは石油回収増進(EOR; Enhanced Oil-Recovery)用として北米に5,000km以上存在する.しかし,CCSで輸送するCO2は排出源や分離方法に依存して不純物ガス成分が異なるので,流体の相変化や減圧挙動が影響を受ける.このため,CCS用パイプラインに対して新たな評価基準が必要である.
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