東京大学大学院 システム創成学専攻 粟飯原周二研究室


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高圧ガスパイプラインでは,き裂伝播や塑性変形が生じてもガス圧による負荷は容易には低下しないので,延性破壊であってもき裂が200m/s以上の高速で伝播することがある.延性き裂伝播抵抗はき裂伝播とともに上昇するので,高速延性破壊の評価にはき裂伝播抵抗の速度依存性を求めておく必要がある.

高速延性き裂伝播を実験室的に再現するために,当研究室で保有する計装化落重試験機による評価と解析を行っている.Fig.1は,落重試験により試験片に高速変形を与えた際のき裂伝播挙動を高速カメラで撮影したものである.このような計測からき裂伝播距離を求め,荷重と変位の動的計測データとあわせて,き裂伝播抵抗を算出する(Fig.2).準静的なき裂成長よりも抵抗値が上昇することが確認できる.Fig.3は落重試験後の試験片の破面を示す.45度方向のせん断破壊を呈していることがわかる.

落重試験で再現できるき裂伝播速度は高々10m/sであり,さらに高速で伝播するき裂の抵抗はフルスケールテストの結果から推定する.一方,当研究室では,高速き裂伝播を動的弾塑性有限要素法でも解析している.き裂先端塑性域における塑性波の伝播がき裂伝播に追いつかなくなるために,き裂先端の歪集中が低下すること,従って,き裂先端で延性破壊を生じながらき裂を伝播させるためには,き裂駆動力を上昇させなければならないことを定量的に示した.このことから,低速から高速域におけるき裂伝播抵抗曲線を算出できると考えている.


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