東京大学大学院 システム創成学専攻 粟飯原周二研究室


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高圧ガスパイプラインの信頼性を確保する上で,高速き裂伝播の防止は最も重要な課題である.Fig.1に示すように,高速き裂伝播には多くの因子があり,これらが相互に影響を及ぼすために,そのモデル化は複雑となる.

高圧ガスパイプラインにおける高速き裂伝播はガスの内圧に支配されるき裂進展力とパイプ材料の抵抗力との釣り合いによって決まる.従来の天然ガスパイプラインでは,き裂抵抗曲線とガス減圧曲線を比較することによりき裂の伝播/停止を評価してきたが(Fig.2,3),き裂伝播挙動とガス減圧挙動は相互に影響を与えるので,水素ガスやCO2等,これまでとは異なるパイプラインでは特に,新しい評価法の開発が必要である.

当研究室では,従来の手法とは全くことなる数値モデルを開発した.このモデルではガス減圧とき裂伝播の支配方程式を連成して解くもので,バックフィルの影響も考慮することができる.Fig.4は,本研究で開発した数値モデルによる計算例である(鉄鋼会社の共同研究で実施された空気バーストテスト).パイプの内圧をカラーで示してある.ガス減圧とともにき裂は減速して最後に停止することがわかる.実験結果を精度よく再現できることを確認している(Fig.5).本モデルを用いることにより,天然ガスよりも水素ガスのパイプラインのほうが早期にき裂が停止することが確認されている.




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