東京大学大学院 システム創成学専攻 粟飯原周二研究室


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本研究はNEDOの受託事業としてノルウェーの研究所SINTEFと共同で実施したものである.Fig.1に示すパイプラインに水素またはメタン(天然ガスの主成分)を充填した状態で,強制的に300mmのき裂を導入して,高速き裂伝播挙動を観察した.

Fig.2に,高速カメラで撮影したパイプの動的破壊挙動を示す.き裂が約200m/sの速度で伝播するとともに開口したき裂からガスが漏洩することがわかる.

Fig.3に,試験後のパイプを示す.き裂は1m程度伝播して停止した.Fig.4はき裂の伝播距離の比較を示したものであり,メタンガスよりも水素ガスのほうが,短距離でき裂が停止したことがわかる.

Fig.5は,パイプ内部のガス圧の変化を示したものであり,水素ガスのほうが早期に減圧が生じていることが確認できた.ガス中の音速は水素で約1,300m/s,メタンガスで約450m/sであり,水素のほうが早期に減圧が生じる.

上記の実験に加えて大径のパイプラインについてもフルスケールテストを実施し,き裂は早期に停止することを確認している.

<まとめ>
高圧水素ガスパイプラインの実大強度試験を世界で初めて実施し,パイプの動的破壊挙動を観察した.高速き裂伝播挙動に関する限り,水素ガスパイプラインは天然ガスパイプラインよりも安全であるということができる.



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水素輸送パイプラインの研究
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