ますます増加するLNG[液化天然ガス]消費と国家戦略
新しいLNG貯槽システムと先進材料


prelude FLNG offshore
近傍陸地までのパイプラインが不要なFLNG[Floating LNG]構想例.小規模ガス田開発にも期待できる. FLNG船内では採掘したLNGを船内で精製・液化し貯槽.そのままLNGタンカーに積みつけることが可能である. 洋上でのLNG備蓄構想例.備蓄は有事の際の供給継続の他,LNG調達の自由度を大きく拡げる.

我が国のエネルギー源における天然ガスへの寄与はますます上昇している。当研究室では、今後の取るべき天然ガス政策を検討するとともに、新しいLNG貯槽・輸送システム及び使用される極低温用材料へ求める必要条件を検討、エネルギーガス領域の様々なプレーヤー(行政・商社・オーナー・エンジニアリング・ファブリケータ・材料メーカ)と協議を行い、経済合理性に優れる設計と材料の組み合わせを提案する。



大型構造物の弱点である溶接部を力学面の積極制御により機能最大化
軟質継手(溶接部が母材よりも軟らかい)の安全性確立と積極活用


万が一の破壊を考えたとき、大型構造物にとって溶接部は要となる。割れや欠陥を溶接部に残さないことが何よりも重要である。 溶接部は本質的に金属組織などが異なるため母材との強度差が生じるなど複雑である。しかしこの不均質さを積極的に取り入れる、特に溶接部に軟らかい材料を配置した場合には様々な利点が生じると考えられるが、原状積極的に活用されているとは言いがたい。当研究室では不均質溶接部の破壊特性と積極活用について考え経済合理性向上を目指す。 building undermatching
身近な鋼構造物は多くの溶接により製作されている(図は高層建築の例) 軟質継手のマクロ組織と硬度分布。溶接金属部が周囲より軟らかいことが判る。




リサイクル性・経済性から構造材料としてなお最も強力
鋼の破壊過程の理解深化と特性予測技術

fracture_path 大入熱溶接熱影響部を伝ぱするぜい性き裂の断面観察例(き裂は左から右)。複雑な伝ぱ形態であることが判る。
鉄鋼材料は地球上に最も豊富にある金属資源であり、今後も最重要な構造材料であり続ける。最も回避すべき大規模不安定破壊を防止するため、格闘を続けてきた歴史を持つ。しかしながら、その金属組織の複雑さから破壊現象について完全な理解に至っていない。新たなミクロ的視点を考慮した革新的な破壊力学モデルを構築し次世代の先進材料の開発指針を得る。 cca_specimen
き裂マイクロ分岐・複数層割れによるエネルギーロスを考慮に入れた数値計算例。